行動経済学というのはご存じですか? 行動経済学を簡単に言うと心理学に片足突っ込んだ経済学です。経済学と心理学の間にある学際的な学問とも言えるでしょう。行動経済学では、その名の通り行動に焦点があてられます。人は「知覚」・「認知」・「行動」のプロセスで意思決定されます。その「知覚」や「認知」を通る過程で合理的経済人の前提が疑われたのです。経済学では人は合理的に行動する前提で理論が組まれています。でも人って機械みたいに合理的な意思決定する? しないよねって言うような事象を集める学問です。
少なくとも私が大学のゼミにいた時はそのような学問でした。行動経済学の経済実験の助手の経験も行いました。経済実験では実際に報酬を与える形でムカデゲームの亜種をしていました。結果は、人は金を最大化するよりも人と協力して利益を分かち合うことがあるということでした。
行動経済学は経済社会の中で人間がどのように行動するかを観察し、分析する経済学とのことです……がその分析結果を元に経済社会の枠組みの外に適用してもなんら問題ありません。実証されていない。学問ではない。それだけなのですから。ここはエッセイ。学問よりも学問をどう使いこなすかです。
何故このような予防線を張らせて頂くかと言うとこのエッセイでいう「アンカーリング」を説明した時、商品や値段だけに適用されるんだぜ? 馬鹿じゃねーの? お前みたいなことを言われましたので(内心ぶち切れました)。人間は合理的な生き物ではない。そんな非合理的な事象を利用し、非合理的な枠組みの中で合理的に人生を良くする。
経済学の枠組みの外の話を私はしています。
……どっちが馬鹿なのかは読み手様に委ねます。
さて、アンカーリングです。アンカーリングとはなんでしょうか。アンカーとは船の|錨《いかり》のことです。先に与えられた情報や数字に無意識のうちに判断を歪められてしまうというものです。最初に高額な値段を提示して値引くと最初の値段に引きづられて基準が変わってしまうというものです。
「奥さんっ! 安いよっ安いよっ! 今なら金華サバ1尾2000円のところ。なんと! 今日限り3尾で1000円だっ!さあ買った買った」
安いか高いかわかりますか? 書いている私にもわかりませんwww
繰り返しますが、金の話になるのは、金(報酬)を使って経済実験で実証しているので、それはそうなります。しかし金の枠組みだけで金がからまない事象にはあてはまらないのでしょうか? 本当に?
テストで満点をねらって勉強するのと赤点回避をねらって勉強するのと行動が違いますよね? テストがある。これが「知覚」です。最初のアンカー「基準」(錨)をどこにおろすかで認知が変わります。目指す基準は100点なのか40点なのか。認知が変わると行動が変わります。勉強の姿勢が変わってきますよね。100点を目指すとその基準に引きづられて80点や70点はとれる気がしませんか? これがこのエッセイでいうアンカーリングです。
早慶上智を狙ってMARCHに受かることはあっても、日東駒専を狙って早慶上智に受かることはありません。当たり前ですよね?
書籍化を狙って受賞を逃して拾い上げがあったとしても、どこかなんかよく分からないバズって拾い上げを願って書いていては、書籍化なんてしないかもしれません。
最初に立てる目標を
最初に強く意識する基準を!
ほんのちょっと高くアンカーリングしませんか?