1ー4 うつへの対策:「客観視」と「幸せ回路」

 うつとは何でしょうか。
 一般に言われる定義を引用しましょう。
 読み飛ばして大丈夫です。

『「うつ状態」とは、活動が低下し、気分が沈むなど、心身のエネルギーが低下した状態。精神的には意欲や関心がなくなり、疲れがとれず、考え方が後ろ向きにな』る。とのことですが、

私は次のように定義します。

 記憶領域と「死にたい回路」の結びつきによって引き起こされる諸状態。(※人工のうつに限る)

 半分あてはまって、半分あてはまらないと思います。なぜなら、鬱には二種類あるからです。天然のうつと人工のうつです。天然のうつはまだ薬物療法を行っていない人に起こる状態。体が動かない。無気力。全てがどうでも良い死ぬのですらどうでもいい。ところが薬物療法を受けるとちょっとうつが変化します。死にたい。ただひたすら死にたい。叫んだりします。

 なんでこんなことになるかは『抗うつ薬の功罪』か『抗うつ薬の真実』を読むといいでしょう。製薬会社から金貰って無理矢理認可したみたいな話らしいです。どっちの書籍かはわかりません。九州大学の教授に薦められた書籍です。どっちかは忘れましたけど。アウトプットが終わったら読んでみようとは思っています。人工のうつ病なのか薬害うつ病なのかどっちなんですかね。

 私は後天的な躁鬱病です。遺伝適性はあったにしろ。ですので、後天的だから気づけたものがあります。誇張ではなく、うつにというものの正体に差し迫ったと私が考えている大事なエピソードがあります。紹介します。

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 高校の時期に俺は頭に衝撃を受けしばらく抑鬱状態になっていた。季節は経ち、大学時代初めての躁転の後、鬱で体が思うように動かなくなって、私はある中学時代の思い出を思い出していた。

 中学の出来事だ。俺は水泳のクロールが遅かった。でも、別に本気でやっても遅いので、まったり泳いでいた。端にタッチして水面にでる。日射しが水しぶきで乱反射していた。そこにクラスメイトの冗談めいた歓声と沸き起こる拍手を思い出して、俺は死にたいと思った。

 それと同時に思い出した。

 中学の出来事だ。俺は水泳のクロールが遅かった。でも、別に本気でやっても遅いので、まったり泳いでいた。タッチして水面にでる。日射しが水しぶきで乱反射していた。そこにクラスメイトの冗談めいた歓声と沸き起こる拍手を思い出して、《《ふざけあって楽しかった思い出を思い出して懐かしく楽しいと思った記憶》》も同時に蘇った。

 俺は楽しかった思い出を思い出して、死にたいと思っている。この事実に気がついた時、愕然とした。

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 ここで私は一つ仮説に行き着きました。

 うつの自分は、はたして本当に自分なのか?

 自分とは別の脳の思考回路を走破しているウイルスのようなものであって、自分という人格とは別の存在なのではないか?

 最初の気づきでした。この時から自己の客観視、「メタ認知」の強化を意識する日々が始まりました。

 過去の想い出に浸食する「死にたい回路」。「死にたい回路」に近い言葉は希死念慮でしょう。抗うつ薬の副作用にははっきり希死念慮という言葉が載っています。その投薬をやめたら影響なんか残っていませんよと主治医は笑って言います。でも、私は「死にたい回路」が形成され、SSRIをやめた今でも「死にたい回路」が機能しているのを日々実感しています。
 記憶領域を「死にたい回路」が覆っていき絶望が支配していきます。何もできなくなる。死ににいこうとする。過去だけでなく未来も浸食されていきます。

 うつの危険さ、やばさは色んな人が理解を求め、共感を求め発信しています。私が考えるうつの本当のやばさは現時点の問題に留まらない「過去と未来への浸食」です。

 うつの危険さを発信し、共感を得ることがこのエッセイの目的ではありません。以下解決編です。

 対処法は2つ考えられます。

 1つ目は「死にたい回路」を自分ではないと断定し、区別する。「死にたい回路」を俯瞰し、客観化し、並列処理して日常を笑って過ごす。そう、「メタ認知」強化ルートです。健常者の世界に擬態して潜り込むことも可能です。もの凄くきついです。このルートは欠点があってメンタルが強くなりすぎてしまうことです。例えば、薬の効果が下がっていても、努力と根性で耐えてしまって、薬をちょっと飲んだら楽になるのに気づけない自体を引き起こしがちです。

 2つ目は「幸せ回路」の構築・増強になります。幸せなんて感じることねえよ! そんな声が聞こえてきそうです。そうです。ええ。ええ。最初はそれでいいのです。幸せと思うまでもいかないまでもちょっといいなと思うことをなるべくする。集める。身につける。そういったことです。温泉に行きたいと思ったら行く。整骨院に行きたいと思ったら行く。いいなと思ったぬいぐるみを飾る。フィギュアを飾る。気に入ったネイルを身につける。腕時計を身につける。そして、ちらちらと物の場合は見ることです。ネイルを見てかわいい~。時計を見てかっこいいなあと思う回数を増やしましょう、意識しましょう、強化しましょう。幸せになるために幸せを感じられそうなものをより身近にしましょう。

 「神経可塑性」をご存じですか? 脳は大人になっても変化するものです。脳は生涯を通じて変化できる、プラスチックのように柔軟なものだと研究を通じてわかっており。この性質を「神経可塑性」と呼んでいます。「神経可塑性」を信じるのです。

 念のため書いておきますが、これは投薬治療を否定するものではありません。投薬後どう努力するかです。うつにはがんばるなが禁句とは言いますが、私はそう思いません。うつを治す為にがんばってください。休養が必要なら全力で休み、知識が必要ならつける。他のことはどうでもいい。うつを良くする為だけに頑張って下さい。
 長くなったのでまとめます。

・うつには天然物と人工物がある
・人工鬱は過去の楽しかった想い出も鬱のトリガーにできる
・抗うつ剤を飲んでしまったら「死にたい回路」が形成される
・「死にたい回路」の対処策は2つ
・うつを自分ではないと断定し、メタ認知を強化し客観化して並列処理する
・「幸せ回路」を構築し、強化することで「死にたい回路」と「幸せ回路」の脳の記憶容量の陣取り合戦の勝利を目指す

 幸せの道筋が見えてきましたか?
 もし、このエッセイが何らかの幸せになるためのヒントになれば、この上ない幸せです。

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